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フェムト秒レーザー

フェムト秒は、1秒の1000兆分の1です。言い方を変えると、1秒は1000兆フェムト秒です。つまり、フェムト秒は、驚くほど短い時間量なのです。より使われる例えですが、宇宙が存在し始めてからこれまでに経った年数よりも、1秒に含まれているフェムト秒の数の方が多いです。この新たな発見をぜひご理解ください!

別の例え:人間の目のまばたきの速さはどれくらいでしょうか?300兆フェムト秒です。まだ気になりますか?1フェムト秒のうちに、光は0.30578µmの距離を移動します。あまり遠くありません。そして光は実際に速いです。

さて、フェムト秒の意味をはっきりさせたところで、今度は、「それを誰が気にするのか」についてです。科学者は気にします。科学者の研究対象は自然界で、最も小さい測定単位まで探るほど徹底的に行うためです。ですが、その他の人々にとってはどうでしょうか?フェムト秒の速度について、本当に気にしているでしょうか?一般の人々にとって、フェムト秒とはどれほど意味のあるものなのでしょうか?

私たちがフェムト秒に興味を持つべき最も重要な理由は、フェムト秒のおかげで、新しい重要な製品を作ることが可能だからです。

物質加工用超高速レーザーの世界では、光がフェムト単位でパルスを発する場合(1ピコ秒よりも速くパルスを発することになる)、圧倒的な変化がもたらされます。なぜでしょうか?それよりも遅いものだと、(ピコ秒は、フェムト秒の1000倍遅いので、遅いとみなします)、物質の反応が変わるのです。熱い場所から熱が周りへ広がるには時間がかかります。これは、日々の経験からわかっていることです。

マイクロスコープのレベルであっても、金属やガラスのように、熱が、固体の原子格子を通って拡散するのにかかる時間には限りがあります。どれくらいでしょうか?およそ1ピコ秒です。レーザーパルスの長さが1ピコ秒またはそれ以上の場合、レーザーエネルギーは、レーザーパルスが物質に吸収している間の熱のように、広がり始めます。これにより、熱ダメージが周りの基質にあったり、大量のレーザーエネルギーを浪費します。対照的に、フェムト秒パルス単位まで行くと、パルスはどの拡散が起こる前にも十分に吸収されています。レーザーエネルギーのほぼ100%が、切断によって直接的に、物質切断に使われ、熱による損傷はまったくありません。まるで魔法のようですが、実際には、物質の熱反応よりも素早く作業をするだけの話なのです。

フェムト秒レーザー技術により、新しいレベルの精密性が可能になり、毎日あらゆる種類の利益がもたらされます。いくつか例をあげてみましょう。

フェムト秒レーザーによって、眼科手術の精密性が、他のレーザーの場合に比べて高くなります(つまり、リスクが低くなります)。

自動車メーカーは、ガソリン燃費がもっと良い燃料インジケーター(GDi)を生産しています。―30%もの燃費向上です。これは、フェムト秒レーザーを使い、噴射穴をより正確に開けることで実現しています。

フェムト秒レーザーで作った冠状動脈ステントは、構造的な統合製が非常に高いです。バリ取り、ホーニング仕上げ、化学的エッチングといった、ステントの複雑な構造を弱くしてしまう恐れのある二次工程をせずに切断してあるためです。 次に使うスマートフォンの画面は、強度が増し、壊れにくくなっているかもしれません。フェムト秒レーザーによりガラスは、微小亀裂を作ることなく切断するからです。微小亀裂があると、超強力なガラスでも、恐ろしいクモの巣状の割れ目に弱くなってしまいます。

最近までずっと、フェムト秒の光は、商業的に応用できる対象というよりは、学問研究の主題でした。それは今も変わっていません。上記で言及した画期的な製品には、フェムト秒レーザーが必要です。これはパッケージ化して実用的な工具として納品が可能です。レイディアンスは初めてフェムト秒レーザー技術を産業化しました。これにより、プログラム設定が可能な機械加工ソリューションが生まれました。24時間×7日の工場用途の厳しい条件にも対応できます。これにより、フェムト秒は非常に便利になり、私たち全員に関係あるものとなりました。

本題に戻りますが、フェムト秒とは何でしょう。誰がそれを気にするでしょうか?本当にわずかな変化でしかないのですが、製造業者はフェムト秒レーザーが新規設計と、現存の生産工程の改善を可能にするという能力に沸き立っています。このような展開はささいなことではありません。光のフェムト秒パルスはヘルスケア、排ガス規制、モバイル通信の分野で製品を変化させています。



紹介の部分

ミリ(mili)が1000分の1、マイクロ(micro)が100万分の1を表すように、フェムト(femto)は1000兆分の1を表す単位の接頭語です。レーザーパルスの持続時間を数兆~数百兆分の1秒にまで短パルス化したレーザーがフェムト秒レーザーです。 大気中の光は1秒間に地球を7周半回る速さで伝播しますから、例えば、パルス幅が100フェムト秒のレーザーなら、わずか30ミクロンという空間領域に光エネルギーが閉込められていることになります。

ページトップ フェムト秒レーザーの特徴は?

1パルス当たり1ミリジュールのエネルギーを持つレーザーが1kHzで発振している場合、このレーザー光源の平均出力はわずか1Wです。しかし、これがパルス幅100フェムト秒の超短パルスレーザーならパルス中の瞬間的な到達出力は1000万キロWにも上り、標準的な火力発電所の供給電力の10倍に相当するピーク出力を得ることができます。 レーザー技術の進展により、電源を入れるだけでこのような高強度レーザーが容易に使用でき、また、その大きさも卓上サイズにまで小型化されています。

ページトップ フェムト秒レーザーならどんな加工ができる?

高強度のフェムト秒レーザーを材料物質に集光照射すると、熱伝導が起こる前に瞬時にエネルギーが注入されるため、レーザー照射点の周辺部位が熱的・化学的な損傷を受けない高精度・高品質な加工が実現できます。また、多光子吸収という非線形現象を利用して、通常なら光が通り抜けてしまうガラスやダイヤモンドなどの透明材料の内部に3次元加工することも出来ます。金属・バイオ・光感光性樹脂・医療といった様々な材料加工分野においても、従来製法と比較して大幅な性能向上やプロセスの簡略化が期待されています。