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レーザー加工学会

レーザー加工 原理
yagレーザー 原理
co2レーザー 原理
固体レーザー 原理


 このレーザーで用いられるYAGの結晶は、イットリウムのうち結晶製造時に他の元素を数%ドープ(添加)して置き換えたものが用いられている。イットリウム、アルミニウム、ガーネットで構成する結晶に微量のレアアースを添加した結晶体を媒体に用いたレーザーのこと、またはその発振装置のこと。結晶を用いる固体式レーザーのひとつであり、パルス発振で、代表的なネオジウム(Nd)を添加した場合の発振波長は1.06μmの赤外線である。

 多くのレーザー波長の中で、歯科医療にEr:YAGレーザーが最もふさわしいと言われる理由は、水への高い吸収性にあります。Er:YAGレーザーは、水を含んだ生体組織に対する蒸散能力が高く、表層にのみ反応が起こり、熱の発生が微小なため、痛みが非常に少ないという特徴があります。

研究用?工業用?医療用レーザなどに最も多く用いられているのはネオジム(元素記号Nd)をドープした Nd:YAGレーザーで、医療用などでエルビウム(元素記号Er)をドープした Er:YAGレーザーも多く使われている。 また、胆石の除去などにはCTH:YAGというクロム、ツリウム、ホルミウムをドープしたものが使われる。 金属に対するエネルギー吸収率が炭酸ガスレーザー(発振波長10.6μm)よりも高い、光ファイバで伝送できるなどの利点がある。レーザー加工機として、金属のスポット溶接、異種金属の溶接などのレーザー溶接機や、レーザー彫刻機、レーザーマーキング装置などに使用されている。

YAGレーザーの開発の経緯

 

 レーザーが開発されて以来医療分野への応用は積極的に進められて来た。中でもCO2レーザー、YAGレーザーは、その高出力を利用して切開?蒸散?凝固?止血等のレーザーメスとしての研究開発が進められ、現在ではハンディタイプの小型機まで商品化されている。レーザーメスとしてのCO2レーザー、Nb:YAGレーザーには各々、一長一短がある。

 CO2レーザーは発振効率が高く高出力が容易であり、その波長(1.06μm)が水の高吸収帯にあるため、生体での吸収率が高く切開?蒸散能力に優れるが、そ波長で実用的に使用可能な光ファイバーがなめ、複数の反射ミラーを用いた多関節マニプレーターによって導光される。このため現在医療分野で開発が進んでいる、インタベンション又は、非侵襲的治療法、最小侵襲的治療法への応用が限定される。

 換言するならば、内視鏡下治療において利用可能な細経導光路を持たいため、レーザーのは最も基本特性のよい性質を持つ発振器でありながら、その応用が限定される傾向にある。一方、YAGレーザーはCO2レーザー程ではないが、良い発振特性を持ち導光路として、石英光ファイバーが利用可能であるため、内視鏡下治療を中心に広く応用技術が開発されてきた。しかし、その波長(1.06μm)は、基本的に生体の成分である水に対して吸収率が低く、光そのものによる切開?蒸散能力は低い。その後の開発により、光ファイバー出射端にサファイア製のチップを装着し、サファイアチップを加熱して使用する方法により切開能力が向上したが、基本的には光の直接吸収によるところが小さいため、必要以上のレーザー光を体内に注入していることになる。

 さらにYAGレーザーにおいて非線形結晶(KTP、ADP等)を用いて第2高周波(SHG)を発生させる波長変換により、1.06μm 光の1/2の0.532μm (緑色可視光)を発生させ、レーザーメスとして利用する装置が開発された。0.532μm 光は、血液中の酸化ヘモグロビンの吸収帯にあるため、生体内の血液に良く吸収され、血液リッチな部位ではその切開蒸散能力が向上する。

 しかし、実用的な波長変換効率は20~30%程度であり、100W級のNb:YAGレーザー発振器を用いても、20W程度の0.532μm 光しか得られない。一方で、新しいレーザー結晶が開発され、今までにない波長でのレーザー発振が可能になった。その中でも、2.94μm に発振波長をもつEr:YAGレーザーが水の吸収ピークに一致し、生体での吸収が非常に良かったが、実用的な光ファイバーが開発されなかった。石英ファイバーの透過帯域は0.3~0.4μm)さらに、Tm:YAG、Ho:YAGの2μm 帯のレーザー結晶が実用化された。2μm 帯のレーザーは、3μm 程ではないが水に対する吸収性が強く、石英ファイバーの透過帯帯域にある。Ho:YAGとTm:YAGの発振波長は2.08μm、2.01μmであり、2μmの水の吸収ピークにはTm:YAGのほうが近いが、発振効率はHo:YAGの方が良い。以上のように、Ho:YAGレーザーは内視鏡下手術において、不可欠な石英ファイバーが利用でき、生体に対する吸収性が従来のNb:YAG、Nb:YAG+KTPレーザーに比して十分に改善されたレーザー発振器である。



YAGレーザーの動作原理

 ホルミウム(Holmium)ヤグ(YAG)レーザーはYAG(Yttrium Aluminium Garnet:Y3A15O12)結晶中のA13+イオンの一部をCr3+、Tm3+、Ho3+イオン置換したCrTmHo:YAG結晶をレーザー媒質として用いた個体レーザーである。使用した結晶は、Cr、Tm、Ho原子を各0.85、5.9、0.36 atm%のドーピング濃度にコントロールされたものであり、Ho3+イオンの5I7-5I8準位間の放射遷移を用いて2.08μmの波長でレーザー発振する。H03+イオンの5I8準位は基底準位であり、3準位レーザーとして動作するが、Cr3+、Tm3+イオンを光増感材として用い室温動作での発振効率の向上を計っている。

励起過程はフラッシュランプの励起光をCr3+イオンの4T2帯で吸収しTm3+イオンの3F4準位はHo3+イオンのレーザー上準位5I7と接近している。そのため、Tm3+イオンは3F4準位と3H6準位の交差緩和により効率よく3H4準位へ遷移し、さらにHo3+イオンへエネルギー伝達して、Ho3+イオンの5I7準位を増加させ、基底準位5I8との間に反転分布を生成する。

   実際の励起方法はXeフラッシュランプによるパルス光励起であり、楕円リフレクターによりCrTmHo:YAG結晶へ効率よく集光させるフラッシュランプの駆動部分は全半導体化された高電圧充電電源、点燈用高電圧電源、高電圧放電回路からなり、マイクロコンピュータにより制御されパルス動作する。レーザー出力は周波数10Hzにおいて1.7J/Pulse(平均出力17W)であり、パルス幅は350μsecである。また、CrTmHo:YAG結晶は温度依存性があるため、冷却装置は定温型のものを内蔵しており、外部からの冷却水は不要である。