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光の干渉

波における干渉とは、複数の波の重ね合わせによって新しい波形ができることである。互いにコヒーレントな波のとき干渉が顕著に現れる。このような波は、同じ波源から出た波や、同じもしくは近い周波数を持つ波である。波の重ね合わせの原理とは、ある点に生じた波の振幅が、その点に影響するすべての波の振幅の和と一致することである。同じ点で波の山と山または谷と谷が干渉すると振幅の絶対値は大きくなり、山と谷が干渉すると振幅の絶対値は小さくなる。

干渉 (物理学) wikipedia.org  

光には波としての性質(波動性)が備わっています。その証拠となる現象のひとつが干渉(かんしょう)です。光の干渉現象から光の波動性を議論するのが正しい順序ですが、ここでは光の波動性を前提にして、説明を進めます。正しい順序の議論は物理の教科書を参照してください。

光の干渉現象  シャボン玉の膜でおこる光の干渉について

 

回折(かいせつ、Diffraction)とは媒質中を伝わる波(または波動)に対し障害物が存在する時、波がその障害物の背後など、つまり一見すると幾何学的には到達できない領域に回り込んで伝わっていく現象のことを言う。

 

干渉(interference)とは、2つ以上の波が重なった時に合成される波の強度が、それぞれの位相により強弱が現れる現象である。効率的に 干渉を起こすには、それぞれの波の位相がそろっている(コヒーレントである)ことが必要である。光の干渉の度合いは、コヒーレンスで示される。
 
ヤングの干渉実験で、この干渉という現象を確認することができる。
1つのスリットを透過した光は、回折現象により放射状に広がる。その光が2つのスリットを透過すると、各スリットから同じように放射状に広がるが、このとき、2つの光が干渉する。スクリーンに映してみると、干渉縞と呼ばれる明暗の縞が観測できる。
複数スリットが同じ間隔で並んでいる場合は、回折した光が多重干渉し、ある角度でのみ、強め合う回折光が観測できる。この場合、干渉縞の明の部分は非常に 細くなる。波長が異なれば、回折角が異なることから、特定の波長の選択することができる。このようなスリットが多数並んだ素子を回折格子という。
 
Reference
 
イラスト・図解 光ファイバ通信のしくみがわかる本, 山下 真司, 株式会社技術評論社, pp.60-61, 2002.
 
コヒーレンス
 
ヤングの干渉実験で、干渉縞が鮮明に見え、暗の場所では明るさが零となる場合では、2つのスリットからの光の位相差は一定である。
しかし、実際には、干渉縞の鮮明度は光源により変わってくる。電灯の光では鮮明度が低く、レーザでは鮮明度は高くできるが、完全に鮮明にはならない。それは、どのような光源からも完全な正弦波ではなく、位相が途中で途切れている不完全な波となっているからである。
干渉縞の作りやすさの程度をコヒーレンスと呼ぶ。レーザ光は、コヒーレンスが高い、またはコヒーレント光という。太陽光や電灯の光では、コヒーレンスが低い、またはインコヒーレント光という。
 
コヒーレンスの度合いは、コヒーレンス長という、位相が連続する長さで表される。太陽光のコヒーレンス長は数μm程度であるが、レーザでは、数kmのコヒーレンス長をもつものもある。
 
スペクトルでは、コヒーレント光は純粋な正弦波に近いため、1本の線スペクトルとなる。しかし、インコヒーレント光は複数の正弦波が重なっているため、スペクトルが広がる。このことから、スペクトルを計測することで、コヒーレンスを知ることができる。